【小説、詩】 2024年10月29日 空白のイデア(30) 今はただここにいてくれ、と鈴木は思った。なぜなら、佐藤はすでに抜け殻のようになっている。そして、まもなくN教は解体される。国家の機関によって。その機関はもともと鈴木がつくりあげたものだった。だが、今は鈴木の力の及ばぬと… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 空白のイデア(29) 結びつきを描こうというのか?私に彼は言うだろう。「もっと悲しみを描け」と。だが、と鈴木は思う。私はすでに多くの悲しみを知りすぎている。まるで、水分子が海にいくつあるか、数えるのが無意味なくらいに。鈴木はすでに佐藤の妻へ… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 イマジネーター(13) ある男は街を歩いている。ふいに誰かの声がした。「君はどこに行こうとしているの?」立ち止まって、辺りを見回す。立って電話をしている30代くらいの女性。すれ違いざまに歩いて過ぎ去っていった歩くのも苦労しているような老人。そ… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 空白のイデア(28) さて、あらゆる物事の始まりとしての海から。 「知っているのだろう?あなたは何か自分の心にひっかかる記憶のある。すべてを苦しめる支柱のひとつを求める。空白の存在がそこにはある。ゆるやかな始まりが、すべての急激な終わりをも… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 イマジネーター(12) 虚しい気持ちが湧き上がる。ついに虚構都市群の架空ビル群によって守られていたものが、なくなった。 Aは体を動かすことができない。自分でコントロールできる肉体が、そこにはなかった。その代わりにAは人の精神構造に入りこむ必… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 空白のイデア(27) きっとここにあるものは、ここにあってはいけないものだったのだ。クの肉体。クの肉体は、精神的な物体としてここにあった。 私はここではない世界のどこかにあなたを見いだしたのだ。そのための鍵は何だったの? 君は聞いている。… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 イマジネーター(11) 始まりのない終わりを告げるものがやってくる。Sは、大きな翼をイメージした巨大な飛行機のように飛んでくる。 虚構都市群の中を、我が物顔で飛び回っているのだ。 ぷつりと、集中力が切れて、落ちていく。Sはなだらかに空から… 続きを読む
【小説、詩】 2024年10月29日 空白のイデア(26) 転落したら、終わってしまう人生。常に自らの優位を守らなければならない人生。 鈴木はいつしか疲れ切っていた。彼方からクが呼びかけてくる。 「あなたは、もう知る人のない高みに届いた。それでも、あなたは、あなたは生きていく… 続きを読む