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私であることの37

 状況は少しずつ好転しつつある。夜星は、考える。この世界の始まりには何があったのかと?虚無だ、とある人は考えた。夜星は思う。虚無とは何もない状態だろうか?ただの塊のようなものだろうか?彼は少しずつ自分の中の悪い心を追い出し始めた。人を信じない心。人をうらやむ心。人を憎む心。人に申し訳ないと思う心。夜星は、考える。私の中には何があるだろうか?誰かが言ったことを思い出す。

「あなたはあなたである。でもね、夜星さん。あなたは世界の一部であって、全部ではない。あなたは世界の中のひとつのかけらでしかないんですよ。そのことを心にとどめおいてください。どこまでも流し見に満ちた世界はここにある。だから、あなたはここにいる」

 夜星は自分がなんと答えたか、覚えていない。明日は晴れだとか、明日は雨だとか、そんな話をしたような気もする。誰かにとっての私と誰かにとっての夜星。夜星は、空想にふける。新しい世界を見ようとしていた。一角獣が3種産まれようとしていた。空の中に夜星の星がある。4つの塊をふくんだ希望の星だ。彼はどこからか器を取り出して調理を始めていく。少しずつ、少しずつではあるが、幻想の思考の料理が出来上がっていく。味見して、夜星は、かなりの種類の感情を整理しかねていた。彼の夜に誰かが、そっとキスをした。うれしいものだ。誰にもない希望がそこにはあった。そこには愛があった。私自身と夜星自身の価値を表さない姿勢があった。私たちはなんの価値もないと考えている。私たちはなんの世界も知らされていない。うるわしき世界の中から、立ち上がる巨大な人類。山ほども大きな手で大地を整形していく。形作るものはいつも新しい住まいといったところだ。見つめよう!世界の中にある裏の裏を。そこは表であって、私ではない。狂いの中にすべてをふくんでいる。私の中にはあらゆる物事がつまっている。それをひとつ一つ取り出すだけだ。今日も家にいる。規則正しい生活は続いている。新しい夜の静けさは誰にも邪魔をされない神聖な時間となる。ああ、ありがとう。感謝の言葉が出てくる。世界に感謝だ。世界に感謝しかない。私のことを恨みに思っているとしても、ただ私のことを思ってくれていることに感謝しかない。それを愛というのだ。私は全人類の罪を一手に引き受けているのかもしれない。私は全人類の罪を一手に浴びようとしているのかもしれない。罰は果てしない。罰という名の罰が私に降り注ぐだろう。私を殺そうと話し合っているものたちに幸あれ。私を苦しめようと思っているものたちに幸あれ。私は全てをゆるします。私は自分の全てをゆるします。私は世界の全てをゆるします。許すことのできるのは神のみ。だから、私は神となったのだろうか?私は神の力を借りて、私をゆるすといった方が正確なのかもしれない。ありがとう。世界の中に守られている。ありがとう。世界の中に私はいる。ありがとう。うるわしい君よ。ありがとう愛する君よ。ありがとう、さよならの星よ。ありがとう、世界の渦よ。ウズの中に高く積まれた世界の古の本がある。象徴神の書物である。うれしいことだ。ありがたいことだ。楽しみなことだ。

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