私は私である。何もないことに意味を求めるな、とあなたは言った。私はそのことについてなんとも思わない。強がりで言っているのではない。悲しみや怒りなどの感情もない。どうしようもないやりきれなさに私は頭を下げる。難しいことを消してしまうのだ。簡単なことを呼び寄せる。あなたの星のように。すべては現実でしかない。夜の闇は現実でしかない。何も言葉に響く日々の動きもない。私は頭の中で、AとUをくっつけるようなものだ。とけてゆく世界の中で、当たり前のゴロをつかむようなことだ。私は生きている。この大地の下で。私は生きている、この人間の間で。すべては世界の成り立ちとともに、消え去っていく。誰よりも大きな流れの中で、繰り返される響く音の連なり。消えていかないでくれ。決して、止めないでくれ。世界はただここにだけある。失われた世界がある。慈しむ空の青さ。私は新しい世界をつつんでいる。この世界の中にある大きさ。海の中にある神殿の中に1人の聖者がいる。類まれなるオーラをまとっている。その人は私にいうだろう。「ここにありなさい。その世界の意味をここに向けなさい。究極の暗闇があなたを救うとき、私はあなたを愛するだろう」
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