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カオス27

 外からの侵入によって内がゆさぶられている。あらゆる物事の始まりが、ミンティという人物に集約される。ミンティは孤独だった。圧倒的な孤独さを持っているミンティの姿はひとつの彫像のようだった。失われたものは、それぞれの力へと入り、失われたものは、それぞれへの源へと戻る。人々の姿は、まだゆるぎない姿を放っている。ミンティは家に入った。彼の家ではない。他の誰かの家だ。家の中から奇妙な力がふってわいているのを感じる。ミンティはすべてを神に祈った。その瞬間に光が降り注ぎ、、、、なんてことはなく、ただ、そこにはやはり家があった。家の中には、奇妙な銅像があった。その銅像は何かを求めて手を伸ばしている少女の姿だった。それを見て、ミンティはこう考えた。(あらゆるものには、限界がある。私の認識もまた限界をむかえるだろう。そうすると、この少女の銅像はホンモノなのか?誰の家でもない誰かの家で、誰のものでもない銅像が進んでいる。どれほど、進もうとも、どれほど掲げようとも、その姿は、どこにもない。いや、どこかにさえ、ありえないものなのだ。奇妙な一致点がある。私の過去の記憶とこの少女の姿は、どこかにかよっている。そう。あらゆる統合失調症の幻覚について、私は知っているはず、と思っていたが、実際には、統合失調症そのものが、さまざまな症状をふくんだ病気の総称であるという観も否定できないな、それよりも、私が統合失調症であるか、どうかをどう思い巡らせるべきか、人として、何をなすべきか?)

「何もしなくていいいのよ。あなたは何もする必要がない」銅像の少女はそう告げる。ミンティはその言葉が幻聴だと思ってはいても、すべてをその中に還元することはできなかった。つまり、自分自身の内なる声としての力をはっきりと感じたのだった。さらに声は続ける。

「あなたはすべてにおいて価値がある。あなたは素晴らしい価値がある。あなたの存在はそれだけで、とてつもない価値がある。そのことを私はあなたに伝えたい。うれしいのです。あなたの存在がうれしいのです。すべてにまさって、あなたが存在していることが、今あなたが存在していることが何よりも私にとって幸福なのです。いいでしょう。いいでしょう。すべては、何よりも大切なものになっている。いいでしょう。いいでしょう。すべては、あなたの大切な命。あなたの大切な存在。それは私にとっても、何よりも大事な存在なのです。ありがとう。ありがとう」

 ミンティは聞いている。この声をぼんやりと聞いている。すでに薬の効果によって、妄想はある程度おさまっているはずだった。それが、こんなうれしい妄想に変わっているなんて、、、と驚いた。恐るべきことが起こっている。私は何を求めていたのか、はっきりとわかったのだ。存在者としてのひとつの到達点にいたったのだ。うれしいです。私は私の世界をうれしく思って、世界へと還元しています。耳鳴りがしても、その耳鳴はあなたへの幻聴ではない。私への幻聴でもない。そのすべては、私へのしらせ なのです。しらせ は常に私を無上なる幸福な現実へと至らせるのです。私はあなたを応援する。あなたが私を応援するからではない。無条件に私はあなたを応援する。ミンティはそう決めたのだ。そういう覚悟をもって、進めてきたのだ。そして、その姿をどこまでも見つめている少女の銅像の姿があった。そして、ミンティは深い眠りに落ちていく。ゆっくりと、ぼんやりと、静かに、ゆるぎなく、ミンティは眠りに進んでいっている。つまりミンティは眠りへの圧倒的な欲望に支配されている。その姿を、そのきらめきを誰よりも知っているいてください。そのきらめきを誰よりも信じてください。そして、その物語の語りかけから、すべての銅像への憧れが、増していく世界へと噴出していく。そう、すべては内から外へではなく、外から内へとゆらいでいくのだ。

 その姿を見たときに、失われたミンティの心が少しずつ戻ってきた。うれしい心だ。悲しい心だ。そして、世界を導く心だ。ミンティは感じる。その姿があの銅像の少女のようである、と。

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