バランジューは駆けめぐる。新しい世界へと。バランジューはないている美しい声で。それらを圧倒するように牛の頭をした怪物が人々をピコピコハンマーで叩いている。人々は痛みのために泣きわめき中には床にうつ伏せになって倒れしまうものもいた。牛の頭をした怪物は大きな声を上げる。
「わたしはミノタウロス!お前たちをこのぴこぴこはんまーで、打ち砕くためにここにいる。さあ!前に出るがいい!生きながら、地獄に来たものよ。空から、嘆きの嵐が降ってくるだろう。世界よ!見るがいい!この世界を!この地獄を!」
私はバランジューに魚を与える。バランジューはうまそうに食べて、微笑む。私はミノタウロスと名乗る怪物の一歩手前まで出た。
「いざ!ここにいるのは、生きながらこの世界にやってきた英雄Sだ。わたしの名前を知っているものは、誰でも逃げ回る。それが地獄の亡者たちであったとしてもだ」
ミノタウロスは考える。わたしの使命は地獄の亡者たちに罪を償わせることであり、一体自らを英雄というこのSに対して戦って何があるというのか?大王は、まだ何も褒美を約束していない。罰も言われていない。だとしたら、もしあるとしても、それを伝えなかった伝令の小鬼が悪い。伝令の地獄カラスが悪い。だから、俺はこの男となんとか戦うことを回避したいものだ。どんな力を持っているともしれぬからな。
Sは立ち上がり、前へ背筋を伸ばして、歩いていく。第一の地獄は、すでに終わりをむかえて、崩壊しようとしている。笑みを浮かべて踊り出すSにミノタウロスは恐怖した。そして、ダンマリと通っていくのを許したのだ。これを見た大王は怒り、ミノタウロスをカエルに変えてしまった。
Sは進み続けると、山々がつらなり、急な坂があたりにたくさんある。その坂から、巨大な石が落ちてきた。
「さて?君も終わりかな?」バランジューは言う。背後から髑髏の怪物戦士がこちらに向かってきている。