どこかへ行ってしまったOについて。Oは可愛い人だった。よく笑い、笑い声の少し甲高い人だった。とても人好きで、人との距離が近い人だった。私は私でさえないと思った時、Oは私の夢に現れる。夢の中でOは私にいう。「あなたはなんで私を捨てていってしまったの?あなたをこんなにも愛していたのに?あなたの作る世界が好きだったのに」私は夢の中でOの手に触れたが、その手はとても冷たかった。あなたは誰よりも優しかった、と私は感じていた。だから、Oを?どういう感情だったのか、もはやわからない。覚えているのはあのお尻の形だけ。そんな私に最低だ、との声もかかるものだ。私はOを好きだったのではない。Oの尻をどこまでも追いかけていただけなのだ。そのことについて、私は深く反省をする。私はOの夢を見るときに、何か得体の知れない生命の神秘を感じるのだ。私は再びOに触れる。Oは言う。
「あなたは私にも何も語ってくれなかった。あなたは私にも何も語ってくれなかった。あなたは私にも何も言ってくれなかった」そう。私は沈黙を貫き続けた。すべての生死は精神の沈黙から生まれてくる。トランプ大統領が叫び続ける政策に私は無感動に何も感じずに生きている。そのことを、私は誰のために生きているのか?と問う。電車の中で、子連れの夫婦を見る。たまたま乗る駅と降りる駅が一緒だった。ベビーカーで子供を連れた女性の後ろ姿を見て、Oのお尻を思い出した。私は静かに自らの感情を見つめると、大きな形をした炎をまんべんなく体中にいきわたらせる。とても鋭い愛がそこにはあった。とても柔らかな印の先に愛という泉があった。私はその人妻のお尻を無性に追いかけたくなって、無性に触りたくなった。そこで、思考が途切れて、私は手術室にいた。見ると、マスクとメガネをした医師らしき男が私を見下ろしている。ああ、今から私は切られるのだ、と思ったら、不思議とエネルギーがわいてきた。そのまま、意識が遠のいていく。そのまま、意識が消えていく。限られた天の中に限られた世界を見た。それでおしまい。