何もない過去。果てしのない空。どこまで行っても始まりの思考はどこにもない。終わりへの前奏曲が、流れているこの宮廷で、踊っているのは常に子どもたちだった。夜がやってきて、月が上ると人々は勢いよく話しはじめる。近所の人々の話。
「Mは毎日ストレッチをしているので、健康らしい。やはり、日々のストレッチは欠かせないものだよね。それにしても、あのばあさん、元気だよね」
「そんな話もあるね。Wが高校で働いているらしいが、何をしてるのか知っているかい?わりと時間が余っているようだ」
そんな声を聞きながら、わたしは進むんで行く。向かっていく方向は定まらないけれども、わたしは進まなければならない。また声がする。
「大丈夫だよ。世界中の人が嫌っても、わたしは好きでいるから。最後の最後まであなたの味方です」
ああ、きっとわたしを大切に思う人なんだなと感じる。メガネをかけたふわりとした髪を持つその人は、まだわたしと会ったことはない。遠距離で通話しているだけだ。わたしの疲れのせいで、わたしの力のなさのせいで、わたしはその人と長い時間しゃべることができない。帰ると、チャットのメッセージが来ている。
[元気ですか?わたしは元気にしています。連絡がないので、心配しています]
1度はもう話すまいと思って切れた関係がまた復活の兆しを見せることになる。なぜ、わたしたちの関係がこじれたか?あの人はわたしが書くことをあまり意味のわからないことだと言った気がした。少なくとも何の役に立つかわからないことのような意味合い。その通りだ。それでも、そう言われても信じきれない。無視できないショックがそこにはあった。1ヶ月やりとりしていたんだもの。1ヶ月交流して話していたんだもの。それでも、今日は続くので、わたしは今日を過ごす。それでも、明日は続くので、わたしは明日を過ごす。少なくとも憎しみで心がとらわれないように。少なくとも恨みで心がとらわれないように。他者はわたしを理解することはない。他者はわたしを生かすことはない。他者はわたしを慈しむことはない。