×

何をお探しですか?

キーワードを入力して Enter を押してください

コンテンツにスキップ
← トップページへ戻る 【小説、詩】

カオス6

 異世界の花はどこか静まっているように見える。かけらを整えようと花弁が散っていく様を美しいと感じる。身近な神へといたる道はなお険しい。わたしはわたしのままに世界を記述する。誰よりも発展的な場所で人々は工作に精を出す。Vは今日も新しいことをやろうともがいている。その人の魂は、果てしのない空の上に浮かぶ月のようなものだ。悲しさも苦しさも誰もかれもの感情がVにおおいかぶさってくる。道はどこまで行っても静まりかえっている。Vは何かを言おうとして、やめる。きっと言えば、誰かは救われるけれども、また別の誰かは、悲嘆にくれるだろう。どこまでいっても夢は終わりを告げていく。Vは足を開いて柔軟体操を始める。体が少しずつほぐれていくのがわかる。古めかしい夜があたりをつつんでいる。なだらかな丘陵が、私たちの行く末を暗示しているというのに?どこまでいっても、先にあるのは、真っ黒な花だけだ。そこにあるのは、死への葬送花だけだ。Vは座っている。深くロッキングチェアに腰かけている。そこに男がやってくる。

「やあやあ、きみはどこまでいっても、素晴らしいね。きみはどこよりも素晴らしくあるんだろうね。だからこそ、のきみだ。だからこそ、のきみだ」

 Vは男を見ると笑顔になる。Vのかつての親友(今はなくなってしまった)にそっくりだったのだ。

「ありがとう。きみは新しい物事の伝達をおこなうものだ。きみは新しい世界をつくりあげるものだ」

 Vは興奮のあまり、最後の部分で発音が微妙に崩れてしまった。悲しいことだが、私たちは、夢を見ていたんだ。Vと男のなんでもない夢。それにしても、Vはまだ立ち上がっていない。まるで自分の全てが、どこまでも消えていくようだった。そんな悲しみをふくんでいるという。あなたはどこまでいってもあなたです、と声が聞こえる。わたしはどこまでいってもわたしですと答えを返す。ありがとう、と私はつぶやくと、Vは急に真顔になって、私に語りかけてくる。

「そうさ。この世界の渦はどこまでいってもつながっている。きみと私も、わたしとこの見知らぬ男の人も、みんなみんなつながっているんだよ」

 あたり一面に金色の絨毯がしかれていく。Vはようやく椅子から立ち上がり、男と向かい合った。

「どうしようもない。この結末はどうしようもなかった。人々の死はどうしようもない現実をかかえている。恨みも憎しみもすべてこの世界の出来事なのだから」

 男は手に持っていたパイプに火をつけると、のんびりと楽しみはじめる。煙があたりに広がっていく。Vは、何も言わずに男の目を見た。何か奇妙な温度がその目にはあった。熱く熱く燃えているようだった。

コメントを残す