夜になった。光があちこちにある。どこかにある花を求めて歩き回る。道が曲がりくねっている感覚だ。風が吹いている。隣には誰かの気配がする。太い男か?とも思った。あの、大きな声で話す太い男がわたしの隣にいるのかとも思ったが、違うようだ。隣にいる人は、どこかにいるこの世界を見つめているはずだ。隣にいる人が言葉をかけてくる。「君はもう花は見つけられない。花はどこにもないのだ」
わたしは学校の一室にやってきていた。小さな机が並んでいる教室で、泣いている少年がいる。頭に傷が出て、血が出ている。何かあったのだろうか?聞くと、太い男がいつのまにか隣にいて説明する。
「彼は弟と鬼ごっこをしていて、怪我をしたのだ。そして、彼の頭からは血が流れている。さあ、どうすればいいと思う。どうすればよかったか?なんてのは、なしだ。もうこの少年は頭をケガしている」
少年は大人の女の人(先生か?)に連れられて、病院へ向かう。わたしは少年と一緒にいつのまにか歩いている。
「痛かったよ。教室で鬼ごっこなんてしたからだ。僕が悪いよ」
わたしは少年を抱きしめて、言う。
「大丈夫。君は何も悪いことをしていない。ただ、何かが君を動かして、怪我をさせるようにした。その危険な兆候を君は知っていただろう。それでも進んだ君は、確かなものだ。確かなものを持っている」
少年は白いネットを頭にしている。頭の傷は、縫いあわされ血が止まっている。少年は歩き出す。その先には教室があり、学校がある。わたしは、行くな、行くな、と何度も繰り返す。しかし、少年は進んでいく。学校に戻っていく。
わたしはいつのまにか、荒野に来ていた。少年がくれた青い花が手に握られていた。頭がズキンと傷んだ気がした。あれは、わたしだったのか?と1人考える。あの少年は、わたしの子供時代だったのか?と考える。
青い花とピンクの花が合わさり、オレンジの花に変わる。光り輝くオレンジにわたしの心はあたたかくなっていく。大きな力がわたしをつつんでいく。調子の波がわたしの中にあるのは、わかっている。それでも、その中から、良いもの悪いものを取り出さなければならない。つらい選択の時もあるだろう。それでも、進むしかない。どこかへ進むしかない。
太い男の声がする。
「きみは、よくやっているさ。もう半分達成だ。きみは、よくやっているよ。もう、半分は上りきった。あとは半分。ここから半分はまだ未知の領域だ。きみは、きみであることをもう一度認識しなければならない。きみはきみの業と向き合わなければならない」
わたしは夜からあけていく朝日を見ながら、道を歩き続ける。道はとてもまっすぐだった。さっきまでとは全く違い、道はどこまでもまっすぐに進んでいるように思えた。
そして、オレンジ花は変わらず手にある。