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異世界旅行記(1)

 私はひとりで鉛筆を取り出した。そして、その先端を紙のノートにすべらせる。文字がどんどんと書かれていく様を私はずっと見ているような気分になる。実際は、私が書いているのだ。もちろん。もちろんだとも。私はひきこもってから、すでに2年が過ぎている。動画配信サービスで、面白い海外の映画を見て、楽しく過ごしているが、最近悩みができた。なんと、チャットを始めたのだ。そのことで、人間関係。あのわずらわしい人間関係が、また私の中の大きな問題として、認識されてきたのだ。私は起きて、コーヒーを飲む。そして、ブログで日記を書く。そして、チャットサイトに入って、チャットをする。さらに私はなぜかスマートフォンの他のチャットアプリもしている。今では、2人の人とやりとりしている。そして、私は日記を書くためにノートに下書きを書いているのだ。そのために私は、鉛筆を使う。今では使う人のとても少なくなったもの。今日のテーマを考えながら、何も浮かばないので、前日の夜に起こったことを書いてみる。そこから始まって、いろんな方向に話が飛んでしまう。私は精神的な病にかかているので、そのへんも話があちこち飛ぶ原因なのかもしれないと考える。そんなわけで、話題の絞れない、とっちらかった読みにくい日記ブログができあがる。私はその後、チャットサイトに入る。以前からの顔見知りが入ってくる。

ジル:こんにちは。久しぶり!元気してましたか?

カナン:こんにちは。久しぶりです!元気してました!ジルさんはどうですか?

ジル:うん。元気してましたよ。最近寒いね。

カナン:うん。本当に寒いですね。

 そんなこんなで、日常のことから、いつの間にか、私の病気のことや、弱音を吐いたりもしていた。私は、何か嫌がらせを受けている気がしていた。病気の妄想かもしれないのだが、私のいる部屋に入ってきて、悪口を言って、去っていく人もいた。私のことに目をつけた、というより、愉快犯的なものだと後からわかった。

 ジルというハンドルネームでチャットをしていると、いろんな人で出会う。私の病気が治る、薬を飲まなくても、大丈夫だという人もいて、反発や嫌な気持ちになったが、実際そういうことも可能性としてはあるのかもしれないと思った。

 私には悩みがある。大人数の人のところでは、ほとんど話すことができないという悩みだ。私は部屋の人数が一定数(4人以上)となると、しんどくなって、ほとんどしゃべることができなくなってしまうのだ。

 文字情報だけなので、いろんな受け取りかた があるので、気をつけようと、言葉には、とても敏感になるのは、私が書いているブログに活かすことができているような気がした。言葉の選び方ひとつとっても、とても大事だ。チャット仲間から、私と話していると、落ち着くと言われて、嬉しくなる。私は落ち着いて人とチャットできている。それがとても大事だ。その反面私はリアルで人と面と向かって話すことにとても苦手意識を感じている。今の実生活で話すのは、両親ぐらいだ。これからどうなるか、わからないが、私はリアルで人と話す方法を習得して、スキルを磨かなければならないと思う。そうして、世の中、社会に出るべきだとは思う。それでも、病から来る対人恐怖のため、私は、とても臆病になっていた。

 ある日、部屋の中におおきな黒い穴ができていた。窓の外に。まるで異次元の世界への入り口のようだ。私は、怖がりながらも、その穴の中に入ってみた。私は吸いこまれてしまった。ぐらぐらと世界がゆれる。どこか違う世界に入ってしまったようだ。

「誰かいますか?」私はなんとか声を絞り出した。だが、誰の返事もない。ここは、とても暗くて、何も見えない。私は目が見えなくなってしまったのか、それとも、この世界が、黒一色をおおわれているのか、判断がつかない。しかし、地面はあるようだ。下を踏んで歩き始める。その先には小さな光のようなものが、やがて見え始めた。1時間ほど歩いただろうか。光はずいぶん大きくなり、私は、そこから光のする世界へ出た。

 広い公園の中にベンチがある。噴水もある。トイレもある。そこに大きな男が座っている。とても太い男だ。

「やあ。よく来たね。久しぶりだね。この世界に人がやってくるなんて。どこから始めたものか。とりあえず、君は選ばれて、ここに来た、そう。君はいうなれば、ゲームでいうところの勇者のようなものだ。それでも、君は大きな問題を抱えている。そう。君の胸の内が作り出した世界なんだよ。ここは、そう。そして、君は君の世界から入っていく。そして、君の世界から出ていくだろうね。さあ、この公園には、4つの花があるそれを探してみてくれ。君の勇者としての資質をそのとき確認できる。4つの花が見つからなければ、君はそのままだ。永遠にここの空間にいることになる」

 私はずっとこの世界にきてから、お腹もすかずに、トイレもしたくならないことに気づいた。「そう!その通り。君はそういう世界にいる」太い男は、そう言って、にこやかに笑った。そう。私はそういう世界にいる。そのことを認識しなければならない。

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