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「卵の緒」瀬尾まいこ 読後感想

 本当の子どもではなかった?そんな疑問が、みんなわきおこる子供時代。でも、本当に、この話は本当の子どもではなかったという。心が温まるような、育夫と母ちゃんのやりとり。へその緒のかわりに卵の殻で卵の緒だよ、というあたりも母ちゃんにとっては、どんな気持ちだったのだろうか?本当に実の子どもでないのだろうか?と育夫は思っただろうか?そんなこんなで、朝ちゃんという男の人と母ちゃんが職場結婚。育夫には妹もできる。母ちゃんから育夫は、ある日、実の子どもではない話を聞かされる。それでも、育夫は母ちゃんに愛されていると感じて、温かくなるという話。

 私は実の子どもでない、と昔から言われていたような気がする。少なくとも、一時期までは、母はふざけてその話よくしていた。本当の子どもじゃないよ、っていうとね、んっってするっていう話。それが何を意味して、どんな表情なのかは、私には想像もつかないが、きっと悲しそうな顔をしていたんだろうと思う。私の家に私のへその緒があるか、どうかは、きいたことがないが、そういえば、へその緒なるものが、あったなああ、と今更ながら、思い出させてもらった作品になる。それが卵から生まれたから卵の殻なんて、シャレているが、子供の側からすれば、疑惑はいっそう増すものだろうな。不登校の池内くんもいたりして、何か難しい思春期の子どもの気持ちを想像させられた。クラスの人気者なのに学校に行かないって、、きっと池内君の口ぶりからするに、池内くんは学校のクラスメイトがなんとなく好きになれないのかもしれない。あるいは、学校の先生かもしれないが、、、そういうことって、よくあることだから。特に先生が嫌いだったら、不登校にもなりやすいかも。特に小学校は担任の先生との距離が密だから(特定の教科以外は同じ担任の先生がみる)。そんなこんなで育夫に血のつながりは、家族の誰ともないのだが、みなに愛されて育っている。瀬尾さんが、この作品の中で、言いたいのは、幸せなのは、血のつながりじゃなくて、本当にあたたかい接し方や、あたたかい気持ちや、愛する気持ちだと言いたかったのだろう。その気持ちが、この作品にはあふれ出ている気がする。母ちゃんは決して、万人に好かれるタイプでもないだろうし、私はどちらかというと、そのぐいぐい来る感じが、少し苦手に感じるのだけれども、育夫のことは愛しているし、朝ちゃん(職場の同僚)からは好かれて、恋人関係になって、結婚までしている。男女の仲はさらっと書かれているが、職場で、そんな結婚とか、あるんだあーみたいな驚きは、私の中では、カルチャーショックだった。

瀬尾まいこさんの小説は今のところ、人が人を傷つけたりする描写は出てこないので、いいなあ、とほっこりするなあと思う。村上春樹作品に出てくる穏やかな男と女もいいが(叫んだり、怒鳴ったりはほとんどしない)、瀬尾さんの作品の人間模様もまたいいなと感じた。

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