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← トップページへ戻る 【小説、詩】

世界の果てまで行って(33)

 どこまで行っても、そこにあるのは、草の生えていない荒れ地だった。わたしたちは少しずつ理解し合おうとしていたが、どうにも難しい問題が二人の間にはあった。少女は変わらずについてきているのは、黒い気配がずっとついてきていることから知れた。どこからともなく、声が聞こえてくる。

「あなたは静かな1人の人間である。その人間なので、あなたは生きていかなければならない。だが、その反面、あなたはいつかは死ぬのだ。知っているだろうか?このジレンマを。あなたは知っているだろうか?このハザマの世界の哀しみを」

 誰よりも彼は1人の人間として忠実だった。彼方の世界から雲と虹が出てきている。全ての恵みが世界からでてこようとしている。わたしは一人の男として、人としてではなく、それを受け止めようとした。きっと今でこそ、空は晴れているのだが、まもなく雨が降るだろう。低気圧が近づいているのは、はっきりと頭痛によって知った。その痛みが雨の音をまねきよせたような気持ちになる。いつも私が見ていた空は、まだそこに青くしてあったのだが、誰よりも快活に存在していた。

 どこからか声が聞こえてくる。

「あなたは忌み嫌われるものだ。その姿を誰よりも見せつけている。あなたはひとつの物語として、人々を遠ざけている。私の中にある一つとして、どこまでいっても、その姿を見つめているのだろう。もう、ここでは動き始めている。大地の奇妙な平原があなたのもとに浮かんできているはずです」

 どこまでいっても、世界は世界でしかない。人々の声が痛ましく同時に人々を葬送していく。誰よりも弱い一人の男が、誰よりも一人として生きていくことに、誰よりも知っているのだろう。どうしてもないような、あることを見つけようと私は世界を1つとして前のめりになって生きている。男としての彼が終わろうとしていると思った。誰よりも悲しい音がする。どこからともなく聞こえてくるものだ。細い切れ長の音は、どこまでいっても白馬の王子様など連れてこないはずだ。そこまでいってから、彼はどこかへ行こうとしているのが、わかった。ひとつの形があるだけだった。

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