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女のいない男たち 村上春樹著 感想

「女のいない男たち」という短編集の最後に入っている「女のいない男たち」という短編を読んだ。1人の女性が自殺したと夫から連絡があった話。その女性は、かつて”わたし”と付き合っていた女性。14歳という年齢の時に出会えばよかった、いや、出会ったかのような感覚で、わたしと女性との関係が語られていく。消しゴムを貸してほしいと言った時に、消しゴムを半分にわってくれた話。このエピソードは事実かどうかわからない。ただ、繰り返しこのエピソードは語られていく。

 その女性は水夫たちにさらわれる、狙われているような記述がいっぱい出てくる。その視点はなんなんのだろう。その視点をどう読み解けばいいのだろう?きっと、彼女がわたしから去った理由を他のたくましい男(水夫はそのような比喩で使われているのではないかと考える)にその女性がひかれたからではないかと思いたい側面があるようだ。村上春樹特有のジャズや音楽の話も出てきた。決して新しい音楽とは言えないのだろうとなんとなくわかる。村上春樹の社会体験としては作家になるまでで終わっているような気がする。少なくとも、中年以上の人はあまり出てこない。そして、人妻がよく出てくる。というより、人妻自体がいるのが、あたりまえなのだが、わたしの世界では、とても少ないのだ。

最後はふんわりした形で終わった。たぶん、とか、そんな感じで。

だって、何も確かなことはないし、全ては一つの事実(彼女が自殺したという電話があった)から、派生している想念だということ。現実とそうでない部分を行ったり来たりしている部分は村上春樹作品の特徴ではないかな、と思う。

かつての彼女が死ぬ?わたしに彼女は生まれてからいたことは一回しかないので、その人になるが、わたしより年上なので、なるほどわたしより先に死ぬかもしれないと思う。そして、対人関係にわたしと同じように大きな問題を抱えている女性だったので、(単にわたしが嫌いになっただけなのかもしれない、だからこそ、そういう見方をしているのかもしれない)。わたしは彼女を自分より大事にすることができなかったから。わたしは結局自分が可愛く。彼女を捨てたようなものだ。そんな人間だからこそ、もちろん他の出会いもない。それに比べて、いつも村上春樹の小説の主人公は人妻と不倫していたり、とにかくモテる人だよなあと今更ながらに思う。彼はもう70代の老人なのです。そのことを考えるといまだに30代から40代くらいの主人公をかけるのは、なかなかすごいことかもしれない。逆にいうと、それが一番彼にとってしっくりくる、という表現が、まさにしっくりくる、と言えるのだろう。

 自己の批判とよどみ、自己の批判と語彙の変化。自己の流れと、自己のよどみ、どこから始まって、どこに終わるのか?限定を感じずに世界はただ存在するように思える。

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