×

何をお探しですか?

キーワードを入力して Enter を押してください

コンテンツにスキップ
← トップページへ戻る 【小説、詩】

わたしたちという庭の木(24)

 わたしは歩いている。大地の端から端へと落ちそうなところを1人歩いている。空から1人の人間が降りてくる。わたしはその人間に声をかける。

「あなたは何者ですか?どうかわたしの不安をなくしてくれないでしょうか。わたしは恐怖や不安に押しつぶされそうになっています。あなたは、この大地の外からやってきた。あなたは押されるべき、恐れるべき大地を持っていない。あなたは空を自由に飛んでいるように見える」

 空から降りてきた人間は困ったような顔をする。しばらく沈黙したのち話し始める。

「あなたは不安や恐怖を誤解している。不安や恐怖は生きることそのものから始まっている。生きることそのものから生まれているのです。あなたはまさに生きたいと願っている。そのために何をすべきか、はわかっているでしょう?そのことを、ただすれば良い。その先にもっと自由な地平が開けるかもしれない。ただ、今はあなたに不安や恐怖を起こさないために、あなたはただ正しいと思うことをせよ。そうすれば、あなたの中の疑念はなくなり、あなたはあなたにとって素晴らしい人格的な人間となり、人から大切にされるかもしれない。だが、気をつけるべきなのは、あなたはまだ子供だということ。真の意味で、不安や恐怖を理解している1人の人間ではなく、なんとなく不安や恐怖を感じている。了解不能な感覚を持った子供であると認識することが大事である。あなたはただの子供である。あなたはただの生まれたての人間である。その精神は学ぶべき多くの物事をふくんでいる。そして、物事を響き渡らせる鐘なのです。あなたの肉体はひとつの祝福の鐘としての役割を果たすことでしょう」

 空から降りてきた人は、そういうと、また空に戻っていった。

 わたしはまた大地の端を歩き始める。あなたは言うだろう。もっと真ん中を歩きなさない。そうすれば、あなたは落ちることはないだろう。わたしは反論する。真ん中はいろんな方向に行ける。行くことが可能であると言うことは、行く選択肢が増えるということだ。わたしはそれを選ぶだけの自信も力もない。だから、あなたに問いかけたい。わたしは進むべきか?戻るべきか?あなたの答えはなんとなくわかる。あなたは進みなさいというでしょう。だが、わたしの予想に反して、あなたは言った。

「止まりなさい。ただ、大地の流れに身をゆだねなさい。そうすれば、おのずとどちらに進めばいいか、見えてくるでしょう」

 わたしはあなたの手を握り、わかったと力をこめる。そして、あなたに告げる。

「わたしは流れに身をまかせよう。わたしの進むべき運命に身をまかせよう」

コメントを残す