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← トップページへ戻る 【小説、詩】

わたしたちという庭の木(23)

わたしは眠っている。空には太陽がのぼっている。知らない誰かが毛布をかけてくれたらしい。冬ならではの、あたたかさが、ここにはある。喜びの中の明るさがここにはある。わたしは集中して、心のうちに入る。わたしはここにいる、と感じる。そして、わたしたちはここにいる、とも感じる。失われた月日の中で、まだ残っているものがあった。大切なあなたへ、大切なわたしからプレゼント。ありがとう。ありがとう。誰よりも、知っている。ありがとう。ありがとう。誰よりも愛している。そんな自分自身を愛するわたしそのものにあなたがそっと手を出してくれる。「おめでとう。そのままの君で」あとは自然の流れの中に、あとは大地の泉の中に、わたし自身は深く深く沈んで、深く深くおぼれている。喜びの中をそっと泳いでいるわたし。かけがえのないわたしをずっと抱きしめているんだ。ずっといつくしむ。ずっと抱き寄せている。わたしはわたしをぬくもりのある世界に連れてきた。わたしはわたしを人の輪の中に戻した。とても、とても遠い広い輪の中だけれども、わたしは一歩一歩前に出ながら、あなたとの距離を縮めていく。

知っているだろう?

あの夜の悲しみを。

知っているだろう?

あの夜のあたたかさを。

知っているだろう?

あの夜の夢のことを。

知っているだろう?

あの夜のすばらしい思い出。

わたしは歩き続ける。静かに眠るような意識の中で、まどろみの中を、確かな足取りで歩き続ける。いちにいちに。いちにさんし。声の出る方へ、足は進む。声の伝わる方へ、足は動く。どこまで行っても、白い平原があり、白い夢がある。どこまで行っても白いあなたがいて、白いわたしがいる。すべて白くなれ!大地も海も。

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