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わたしたちという庭の木(19)

 わたしは歩いている。ここにあるのは、白い空。青い森がわたしを包んでいる。ゆるぎない大地が、白い城を際立たせている。その城には柔らかなサンゴが生えている。長い海藻たちが、しずやかに、おだやかに、ゆらめいている。魚たちは泳ぎ続ける。だが、豊かな平原が広がっている。誰かと誰かの争いがここに始まったというのか?わたしはその守りの場所にひとつの”アルカンドルの黒い稲妻”を打ち立てた。空から流星が降ってきた夜を思い起こそう。空から夜の星々が上がっていく漆黒を誰が見ただろうか?指から先の炎が、大きな口を開けて、わたしを食べてしまおうとしている。そのための運命が私たちから、出て行こうとしている。大きな力が夜の闇から光を導き出す。幸いなるかな。あの日々はなだらかな丘を下るように。幸いなるかな、あの日々よ。空虚な毎日にひとしきり夜を静かに巡らせようとしている。カナリアの空が夕日のように空を染め上げている。わたしは腕を動かす。その時、あなたは言うだけ。「ほら、もっともっと」だから、わたしは答える。「そんなこともあるのかな。きっと、あなたが知っているのは、過去のわたしでない誰か。もう、誰もいない。この名前であそこにいた人はどこにもいないと知っているだろう?終わりは今日まで静かに夜をむかえている。わたしたちはどこに行こうか、といつも考えている。緑色の貝殻がわたしたちを包んでいるというのに?もう、始まりしかないこの世界には始まりしかないということに気づいた」

 わたしは眠っている。あたたかい部屋の中で。その流れのゆるやかさにうたた寝しているよう。

きっと知っている。あなたは知っている。この世界のきらめきは、静かに眠っているところにある。夢よ。さらば。わたしの眠りの中の破滅よ。わたしの眠りの中の時間は、虹色のカタツムリを呼び寄せるだろう。新しい空よ。悲しい空よ。あなたはカタツムリを降らせるだろう。そして、紫陽花の花を咲かせるだろう。誰に言われるともなく、誰に告げることもなく。

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