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世界の果てまで行って(14)

 どこにもない。ただ、ここにあるのは意識の流れだけ。わたしはじっと空白を見つめる。そして、その空白に何かを加えようと手を出す。しかし、いつまでたっても、その空白には手が届かない。何度か試しているうちに、空白は空白の渦となって、流れを生み出す。わたしはその流れに乗ろうと、体を動かす。だが、その流れに乗れるはずもない。その流れはわたしの中で起こっているのだ。

 途切れた意識の中で、ぼんやりと未来を見ていると、「全部終わりだよ」と声が聞こえてくる。すべての始まりを終わりにするための柱が立ちあがろうとしている。わたしは、自分たちの一族の未来を見る前に、現在のわたしと関わった物たちの姿をなんらかの作用で見ることになる。

 育ててくれた母と父は忌み嫌われる一族を出したとして、人々からあらゆる協力活動を停止させられていた。人々は両親を苦しみと外れたものの同胞とみなしている。たくわえてあった食料などで両親はなんとか生きている。明るかった母は話し相手がおらず、孤独な日々を送っていた。元気だった父は杖を使わないと歩けなくなっていた。両親が、わたしのことをどう思っているか聞くのが怖い。ただ、ただ、わたしを育てたことを後悔しているだろうなと思った。

 気持ちの中で、洗われる心が弾ける。わたしは見事に散っていく。わたしの心の弱さを落ち葉のように集めていくと、炎をともす材料になるのだろうか?

 少女はまだそこにおらず。少女は海の深く深くにもぐっている。そして、わたしにいつも問いかけている。「あなたはなぜ生きたいの?」わたしは答える言葉がなく、首をゆり動かす。どうにもならない世界にどうにもならない形が生まれようとしていた。誰もがわたしを必要とする世界。誰もがわたしを愛する世界。そんな価値転倒が、ゆっくりゆっくりと進行していく。波はあがり、さがる。波はきては、かえる。その現象のようにわたしは忌み嫌われるものとしての人生を終えようとしていた。それでも、仮想の中に、わたしは仮装して、潜りこんでいる、誰もが、その魂を知らないのだろう。わたしはどこにもいかずに、声をあげている。小さく切ない声だ。

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