わたしはどこにもいかない1人の人間だ。同時にわたしはどこにでも姿を現す。洞窟の奥には何もなかった。そのことで、わたしはひとつの心境に至った。そこから先は、少女に聞いてくれ。わたしはできることは全てやってきた。パンゲアへの道は開かれている。すでに4度目の春がすぎていた。手のひらを伝う水の正体は、なおわたしを不安へといざなう。聞いてくれ、とわたしは思う。わたしの終わりと始まりの歌を聞いてくれ、とわたしは再び思いつのる。
心の中に奇妙な感情が生まれてきた。不安とも違う。恐れとも違う。何か得体の知れないものだ。その姿は、わたしを産んだ女性をイメージさせる。髪は短い。だが、気はとても長い人だった。わたしはいつも笑いかける。いつも人々と共にある女性の姿。わたしは追憶の中に入っていく。どこまでも、愛した記憶と共に、誰をも愛さないはずの呪われた一族の絆。親であることも子であることも、全て終わりへといざなう呼び水に過ぎないという。そう伝え聞いたまま、わたしはわたしを産んだ人間をこの手で、消し去ったというのか?記憶の渦の中に、静かなあきらめが渦巻いている。すべては闇の中に入っていく。わたしはひとつの世界から、別の世界へと。
いつのまにか、美しい公園に来ていた。誰かが作ったこの庭園にわたしは立っている。かたわらには、ひとつの生命体。少女だ。わたしは少女に笑いかける。少女はわたしに笑みを返す。そんな夢を見ていた。いつか、この世界が壊れるよりも確率の低い出来事のように感じるのは、決して間違いではない。わたしはこの世界から、引きはがされた。そして、わたしはパンゲアに心の最果ての地に、いつかたどり着けるだろうか。わたしはわたしのままに、終わりを意識して生きていく。その果てにあるのは、闇の中にある太陽だった。