×

何をお探しですか?

キーワードを入力して Enter を押してください

コンテンツにスキップ
← トップページへ戻る 【小説、詩】

わたしたちという庭の木(10)

わたしは歩いている。ひとつの雫が落ちる。鬼が隣を歩いている。悲しい目をした鬼だ。赤い長髪。青い目。赤い長剣。静かな動き。何者もとらえることはできない。何者もわたしを救うことができないと同時に。わたしはゆるやかに回復している。鬼はわたしに語りかける。

「どこまで行っても修羅の道ならば、あなたはどこへ行きたい?あなたの安住の地はどこにもないというのに。死を誰もが、にこやかに迎えるという」

あなたはわたしと鬼の間に立つ。あなたはどこまで行ってもにこやかに笑いかける。わたしはその姿を見て、涙を流す。踊るための哀しい切ない音楽が流れている。第一交響曲は、人々を鬼の大地へといざなう。

 わたしは隣であなたに守られている。守護するためのあなたの紙。村からやってきた人々の祈り神が、ただなかに投じられている。どこまで行っても、そこにあるのは、夢だった。どこまで行っても、そこにあるのは、影だった。読み上げた不作為の片りんを隣へと向かわせる。

 あなたは欠けた月。わたしは三日月なる。豊穣なる大地。豊穣なる歌声が響く。

コメントを残す