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← トップページへ戻る 【小説、詩】

世界の果てまで行って(5)

 1人の道化師に出会った。道化師は言う。

「忌み嫌われる一族に出会った。わたしは社会の外れものだ。わたしは社会のあぶれものだ。それでも、忌み嫌われる一族のようにわたしは嫌われてはいない。それが何よりも、うれしい。今わたしはわたしが底の底ではないと、知った。お前に会うまで、わたしは底の底に生きていた。わたしはうれしい。わたし以外の何者かが、わたし以外にとてつもなく忌み嫌われていることを」

 そうして、道化師は人々の軽蔑の声を聞いて、笑う。今こそ、わたしの世界を、この嘲笑の世界を、憎しみの世界よりマシなものであるとしよう。

 わたしは眠りについた。道化師は、わたしをおびえさせようと群衆を引きつれてやって来る。

「さあ!人間狩りだ!わたしは今お前を憎む1人の人間として、お前をしいたげよう」

 道化師の笑みは広がりに広がり、耳にまでたっするほどだった。

 そして、少女の鎌がふるわれてしまった。道化師はその命を失い、群衆は散り散りになって逃げていった。群衆をおさえるには、誰かが死ななければならなかった。その1人が道化師だった。2人は分かり合えたかもしれない。だが、2人は最も憎しみ合う人たちかのようになってしまった。そして、一方がもう一方を消そうとした結果、守り手である少女の無慈悲な鎌がふるわれて、片方が命を落とした。

 どこまでもどこまでも業の深い一族は、さらなる奥地へと分け入っていく、そこには、いかなる人もいないと信じたいが、やはり、この世界に人はいるものなのだ。

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