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← トップページへ戻る 【小説、詩】

世界の果てまで行って(4)

 船を降りると、街が広がっている。人の多いところには行くなと、言われていたことを思い出した。しかし、わたしはいつのまにか、人の輪の中で、人々と話し合えることに喜びを感じていた。

「どこからきたんだ?ほう!そんなところから!ゆっくり休んでいくといい」

 世界が全く変わってしまった。あの老人はわたしに世界の別の側面を教えてくれる。わたしは少女の忠告も無視して、この地で暮らそうと職につき働き始めた。人々のあたたかさ、人々の思いやりがうれしかった。きっと、ここは、そういう土地で、わたしはたまたま忌み嫌われた一族が嫌われたところで生まれ育ったのだ、と思いこもうとした。思いこみたかった。だが、1週間後、人々の態度が急に変わった。

「だまされた。あいつは忌み嫌われる一族なのだ。今まで気づかなかったのが不思議だ。明日あいつを皆でやっつけてしまおう。足腰立たなくして、痛めつけてやろう」

 少女はめんどくさそうにいう。

「わたしはあなたを守るためにいる。もし、あの街の人々があなたを傷つけようというなら、大鎌で切り取るだけです。あなたはそれでいいの?それが、あなたの望んだことなの?」

 わたしは夜のうちに街を出る準備をして、真夜中に街を出た。

「つかの間の夢を、ありがとう港の街よ」

 ハズレ道を進みながら、わたしは自分のしてきたことを呪った。わたしは”あの一族”。忌み嫌われたことをしてきた一族の1人なのだ。誰もそのくびきから逃れることはできない。

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