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わたしたちという庭の木(3)

私はのんびりと歩き続ける。静かな音楽がどこからか流れている。ゆるやかな下り坂を、一歩一歩踏みしめながら歩く。誰よりもここにいる私。誰よりもここにある私。どこまで行っても、白い雲が私を待っている。風が吹き抜ける。冷たい風の中を奇妙な夢が通り過ぎていく。夢とは私自身なのかもしれない。人々を苦しめる私という幻想。人々を大地の水となした私の夢の国。人々は踊り続ける。私を繰り返し、見守り続ける。

新しい風が吹いていくこの世界で、私たちは同じ夢を見続けている。さらば、あなたの顔。さらばあなたの腕。私は誰よりも、悲しみに敏感である。私は歩き続ける人生。遠くに建物が見えてくる。ほのかな柑橘系の匂いが、あたりを満たしていく。私は隣にいるだろうあなたに声をかける。「大丈夫だよね?」隣にいるあなたはどこまでも声をかけ続けてくれる。「もちろん大丈夫ですよ。あなたはきっと今より良くなって、いろんな幸せを手に入れることができるでしょう」

「本当に?」私は聞き返す。

「本当ですよ。安心してください。私がウソを言ったことがありますか?」

「ない」

それでいいんです。私はあなたの手をにぎりぎゅっと力を入れる。あなたもぎゅっとにぎり返してくれる。

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