×

何をお探しですか?

キーワードを入力して Enter を押してください

コンテンツにスキップ
← トップページへ戻る 【小説、詩】

空白のイデア(38)

 よく似た姿だ、とジェイクは思った。若い頃の2人によく似ている。男2人に女1人。きっと今では、この世界なにかとなにかがリンクしてきている。ひそかに人々が死へと向かっているのはわかる。すでに大天災により、人口は1割ほどになった。人々は雪崩を打って、N教を信仰するようになったこの時代。静かに行われる儀式。長聖の儀式。卵を2回叩く。割れないように慎重に慎重に。ゆるやかにまわる。たまごをもち手を頭上にやったまま。そこから、かすかな音を出していく。のどの奥の奥のほうから。きらびやかな眼光で、遠くを見つめる。その先にあるのは山奥の聖地。声あげて、誓言を読み上げる。

「遠くにある調べは、なお、近くより発して、遠くより満ち満ちている。世界の秘境は、私たちの心の秘境そのものである。どうしたものか、あなたたちの秘められた力をどうしたものか」

 対となる人の姿が、西の方角から出てくる。太陽と反対の方から出てくるのだ。

「満ち足りた空、青くくもる。空虚な物語、ややどうしたって始まるものだと。ものだと、知りつつある。あるべきようにある」

男二人は女一人と歩いている。幸せそうな三人。笑顔が絶えない空間。その中で、ジェイクは、ハッとする。ここは、きっと何もない始まりの地なんだ、と。そして、今はいなくなった人々の帰る場所なんだ、と。喜びの中に3人から4人へ。

 ジェイクは静かに眠りたくなった。このあたたかい空間で、そして、眠りについた。ゆっくりと落ち着いて、おだやかに。

コメントを残す