駅は人通りが少ない。駅前の商店街を抜けてしばらく歩くと、大きなスーパーがある。駐車場の広い大型家具店も一緒にある。私は妻の実家を訪ねて、ここまで来た。迎えはいらないと断った。住所をっグーグルマップで入力するとあと歩いて15分ほどらしかった。位置情報を確認して、ひたすら歩く。長くつをはいた高齢のおじいさんとすれ違う。どことなく、奇妙な帽子をかぶっている。あれは?アロー帽子?似ているが、そのものかどうかはわからない。帽子に特許があるのかもわからないし、問題は、そうでなくても、そのおじいさんは元気にニコニコして笑っていた。
家は巨大な一軒家だった。豪邸ではないが、広い田舎の家にありがちな一軒家。義理の父が顔を出して、迎えてくれた。
「やあ。よく来たね、佐藤さん。ここは、どんだけ掘っても、掘っても、掘りつくせない鉱山があってね。みんなそこで夢を追って、掘り続けているんだよ。だから、みんな笑顔なんだ。笑顔の人をみなかったかい?まあ、いい。ゆっくり休んでくれよ。明恵のかわりと思って、私は君をこの場所によんだのだから。ありがとう。来てくれて、ありがとう」
妹は言う。「あなたはお姉さんと愛し合ってた。そうだよね?じゃあ、私の前で、その顔をにこやかにしてください。そうすれば、あなたは、きっと静かな境地にととのうでしょう。あなたの気持ちはいつも健やかにあらねばならない。でしょう?」
兄は言う。「この世界は微妙なバランスによって、成り立っている。そうだね?きっと、君はそんなバランスの中の中心点かもしれない。私にはそんな気がしている」
私は答える。「私は佐藤だ。この世界に佐藤という名前はたくさんいる。だが、それが、なんだ。私は私だ」
義理の母は告げる。「あなたは、私の息子。きっと、この世界が成り立ち始めた時から、この世界の息子だったのですよ」
夕方食事をして、寝室に通される。なんと、そこには鈴木が座っていた。
「一緒に寝よう。佐藤さん」
佐藤は、驚く。「なんで??」
その晩は布団を隣にして二人はぐっすりと眠った。お互いにきっと、大好きだった人の夢を見ながら。