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空白のイデア(21)

 クは生きている。何もない世界から復活した自分を理解している。ものごとのはじまりとおわりをものごとの結論と受け止める。果てもない離れていく気持ち。よくある雅楽の統合。彼はどこへ行ったのだ。なぜか消えてしまった長い夜。消さない。消さない。何もかも、私という意識。

「私はあなたたちの前に現れる人」

 そう新しい形を形にするために現れたひとつの教義。そのためにクはなだらかな星を見上げて、ひとり詩を歌いあげる。

 かなたに ひそむ うつくしい ほしぼしの あわれな 孤独に似た 涙を 見つつ 日々 を 形にする

 クの中に大きなひらめきが降ってきた。これは、一年のうちに2,3度起こる。ひらめきはどこまでいっても、光へといたる。

 着弾した。ひとつの希望が着弾したのだ。難しいセーヌのにぎわいから、難しいドナウのせせらぎへと花咲く庭園。

 島の中にあるひとつの川がクを導いてくれる。

「ク。ク。あなたはなぜクなのか?考えてみたことはあるかい?そして、なぜこの世に生まれてきたか、考えたことはあるかい?」

 クはぼんやりと考えなら、走り出す。川と連れ添うように走り出す。

「私は、生まれた。なんのためか、わからない。知っているようなら、教えてくれないか!あてのない川よ!大地の中にある自然の王よ!」

川は答える。

「君は行くべきだ。国へ。狭い島から大地の大きな国へと至る門を通るべきだ。さあ!!立ち上がり!まぶたをあけるんだ!!開け!あなたの心!開け、あなたの道しるべ!」

 復活したクは立ち上がる。おおきな音楽が流れる。とてもおだやかだが、大きな音。川のせせらぎのようだ。

 クは言う。「私は国へ行く。連れて行け」

 鈴木はクにひざまづき、たたえる。「さすがのクだ。あなたは使命をわかっているのだ。そのすさまじい力で」

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