佐藤は歩き続ける。後ろに従うのは、鈴木とジェイク。3人はそれぞれの方向から、この20年生きることの意味を問い続けていた。佐藤は、より現実的に、鈴木は、いくぶん空想的に、そして、ジェイクは、もうひとつの世界から、それぞれの答えを持ち寄って、結局、今がある。佐藤は、やはり歩き続ける。いいあゆみだ。遅くもなく、早くもない。それぞれがそれぞれの歩き方で、同じ方向に向かって進んでいる。この3人のあゆみが、いつまで続くのかは、誰にもわからない。
それでも、それでも、彼らは共に過ごしているのだ。まぎれもなく、20年前におこったあの事件から、3人は一緒に手をとりあうことになったのだ。不思議な因縁だっただろう。死んだはずの一人の女性をめぐって、佐藤は現実的にその存在を理解した。鈴木は、自らに取りこむことで、ひとつの形を見せた。そして、ジェイクは、時の止まったままのあの女性と対話し続けた。何年も、何年も。そして、その存在が「大いなる魂」そのものであると理解した。あの魂は言う。
「あなたたちはみな兄弟なのです。どこかから導かれて、引き寄せあった鎖は3人を固い絆で結びつけました。佐藤はN教の教祖として、その存在をきらめかせています。そして、鈴木は日本の総理大臣になりました。そして、ジェイクは、裏の世界を操る大物フィクサーになりました。すでに事はなっています。いや、すでに事は終わっています。この世界は私のものである。あなたたちは、私を自分のものにしようとそれぞれ思っていたけれども、結局あなたたちは、私のものになった。あなたたちは、私のものであるけれども、私はあなたたちのものではない。それが絶対的な真実なのです。それが、あなたたちの最後の結末であり、役目なのです。佐藤、鈴木、ジェイク。あなたたちは、私の子どもです。最後を迎えるそのときまで、私はあなたたちを見るためにひとりの少女を使わします。その少女の名前はクといいます」