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イマジネーター(10)

 ただの1人として、私を超えていったものはいなかった。そうだろう?E?

 イマジネーターAは虚構都市群のビルの一室でベッドに横になっている。下の布の柔らかさが気になる。美しい風景だ。あまりにも美しいその風景が、どこまでも広がっている。

「これほどまでに美しい景色は君が作ったものか?君は私に何を見せようと言うんだ?風景は常に終わりをふくみ、風景は常に始まりをふくむ。その原理原則をわたしに見せつけようというのかい?」

Eは疲れ切った表情で、暗闇を見る。ここに光はずっとない。いったいいつ、光が現れるのか?イマジネーターAには言ってはいけない。すでにSが彼女のすべてを許したことを。Sは巧みだ。すでにイマジネーターの壁を突破している。心理風景にまで入りこんで、すでに美しい風景を見せつけている。Aはすでに疲れ切っている。疲れというものそのものが、幻想を生み出す原型となった。

 Aが多弁な理由もそこにある。彼女そのものをとりこみつつあるのだ。かなりの部分大きな港から運び出されている。すでに固く閉ざされた薬草は、世界そのものを美しく味あわせる妙薬となっている。静かな心から喧騒な心は生まれない。

 二人の人物から、静かさは生まれないように。であれば、一人であればいいのか?そうではないだろう、とEは感じる。Sの侵入は好意的にとらえるべきか?それとも?迷いの中にいるEは不自然な動きを取り続ける。

 Aはこれらのイマジネートされた風景はEのものだと思っている。Eには、その認識に抗うだけの力があった。だが、残念ながら、迷いの中にいるEは力が発揮できない。それほど、迷いというものが、大きい。

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