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イマジネーター(15)

 この力そのものは流れ行く川のようだ。濁流の中にある哀しみの小石のように。少しずつ流されて、丸くなっていく。静かな諦めが、Aの中にある。私は涙の中に人の姿を見た。であるからこそ、非情な始まりを聞いたのか?封じこめようと思えば、封じこめることができた元の人間の人格。だが?とAは思った。自動で生命を維持するためにどれほどのことを行わなければならないか。朝決まった時間に起きて、歯磨きをして、顔を洗って、朝食を食べて、身なりを整えて、家の鍵をかけて、会社に行って、挨拶をして、雑談をして、仕事上の必要事項を話し合って、昼食を買いに出かけて、、、、。

 なんという制約。なんというめんどくさい生きる行為なのか?Aは疲れ切っていた。そのルーティンの多さや、雑用、精神とは関係のない肉体を維持する行為そのものに。

 そして、Aは考えるのをやめた。ここに、イマジネーターは消滅して、この世界から、ひとつの形が滅び去ったのだった。

 終

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