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イマジネーター(3)

 なんということだ。すでにDは想像世界に没入している。ゆがみの果てにある巨大なバイク音が、迫ってくる。今日は、すでに消失しているバイクの音。それが、またやってくる可能性。いや、違う。これは、飛行機の音だ。もしくは、他の乗り物の音である。優しいあなたがやってくる。優しく強いあなたが。

 イマジネーターの共通意識が発光を始める。

 歩いていると、ジュースをくれる少年がいた。その少年の目は、ひとつの赤い光が備わっている。圧倒的な心眼だ。すべての心のうちが彼によって見通される。感情のすべても、透明なアクリル板のように透けて見える。怒りの感情をイマジネーターDから感じる。Dは良い方向に進んでいる。そう感じていた。だが、その心の深層には、邪悪な怒りがあった。それをかき消すために少年はいたのだ。その少年こそが、最初のイマジネーター。そう、イマジネーターA 。KATONO という人。姓はわからない。どこから生まれたのかも、わからない。東京の多摩市で現れたのが最初に観測されたときだ。今から30年前になる。そのときから、姿は変わっていない。というより、この虚構都市群によって作りこまれた時間のハザマに閉じ込められているのだ。この虚構都市群をつくりあげたのが、イマジネーターの天敵。十二部隊の長 リーダーズである。恐るべき力をもったイマジネーターの対となる幻想交響曲を束ねる指揮者として存在するリーダーズ。彼らは、日本政府の中枢に深く入りこんでいる。

 大都市の一画にある幻想都市群は、やがて、ぼろぼろの姿に外からは見える。なぜかは、わからないが、虚構として、見えるからこそ、虚構都市群として、作り上げられたのだろう。意味不明の考察対象となった都市群のビル。それらは、4つの異なる周波数を出している。巨大な周波数である。夢見るような真剣な周波数である。満ち足りた光の中で、少年は踊る。ゆっくりとひそやかに、それでいて、イマジネーターたちには、その姿は天の舞に見えるのだ。

 イマジネーターA「私は私でいる」 

 イマジネーターB「私は異質な私である」

 イマジネーターC「体の底にあるのは、ミゾ」

 イマジネーターD「彼方にそびえる氷山は溶け出るものだ」

 イマジネーターE「救うべきは原初の民」

 彼らはそれぞれに波打っている。彼らはそれぞれに潜んでいる。

 彼らは、それぞれにみなぎっている。彼らはそれぞれに静まろうとしている。

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