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イマジネーター(12)

 虚しい気持ちが湧き上がる。ついに虚構都市群の架空ビル群によって守られていたものが、なくなった。

 Aは体を動かすことができない。自分でコントロールできる肉体が、そこにはなかった。その代わりにAは人の精神構造に入りこむ必要を感じていた。

 すでにほかのイマジネーターは、どこかへ行ってしまった。いや、元々ほかのイマジネーターは、Aがつくりあげた幻影だった。仲間という偶像を求めたAの精神がほかのイマジネーターを生み出したのだ。Aは肉体のない何か特異な存在としての自分を受け入れることができるだろうか?

 架空の都市群に裏打ちされた圧倒的な物量(精神的な物量)によって、作り上げられていた肉体は、今あとかたもなく消え去った。解放されたひとつの力、肉体がないからこそ、元に戻った力がAを奮い立たせる。

 Aはぼんやりと自分の名前を思い出そうとしている。はじまりのもの。そう。私はアダムと呼ばれていた存在だ。歴史的な流れはアダムをこの世界に再び生み出したのだ。

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