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ここにある何か

 何かがここにあると信じていたとしても、私はここにないものを探し続ける。彼はそう言って、あの空の中に消えていった。空がまだ低く、なだらかだったころのお話。

 昔人という名前の竜がいた。そこには一人の番人がいた。イマビト・トキハル。黒いサングラスをした20代の見た目をした男。鼻と耳には大きなピアスがある。巨大なシルクハットをかぶっている。「どうしたんだい?大将」トキハルは竜に問いかける。4つ目のアイスクリームが容器から零れ落ちていくのと同時だった。美しい花は遠くに訪ねてきていない。

竜はゆっくりと顔をあげて、目の前にいる男を見た。その帽子そのものとでもいうべき、男はすでに1000年をこえて、存在しているはずだった。昔、トキハルはこんなことを言っていた。

「あなたの調べにはよどみがある。色彩の中に明度を色落ちさせている。最果ての島はどこかにあるだろうか?あなたの故郷という竜の住む島」

私はどこかで生まれた。竜は考える。私はどこかから、ここにやってきた。竜は思い出す。

「君の言ったことを考えていたよ。シルクハットの旅人よ」

竜は少し震える声で答えた。トキハルは、何も反応しない。命を失った人形のようだ。そして、ゆっくりと声が聞こえる。

「私の言ったことを、覚えてはいけない。そこは、決して冷めない熱い場所だ。あなたは恋焦がれている。仲間というものに。だが、そんなものは、とうに消えたから、ここにいるんだろう?」

 この言葉を聞いて、竜は悲しんだ。トキハルのことを仲間だと思っていた自分に気づいた。人間の姿をしたトキハルを私は何と重ね合わせていたのだろう。

 うさぎたちがダンスを始める。ブレイクダンス。頭をしたにして、回る。回る。速い。

 トキハルはにこやかに(さっきまでとはうってかわって、笑顔になっている)手をふっている。

うさぎたちも、トキハルに手を振り返す。アナウンスの大音量が流れている。

((優勝はトッピプッピ!))

拍手。沈黙。竜の鼻息。

「おめでとう。私は心からこの戦いを祝福する」

昔人は竜になったころのことを少し思い出しながら、言い添えた。

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