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何物も私から離れる

 人と話すのが好きじゃないんだ、とあの人は言う。

あの人は、きっと本当にそうなのだろう。

私の中で納得のいくものがおりてくる。

静かに小さく着実に、ふわっと着地していく。

何か、新しいものが生まれると感じて、作ってみたは良いけれど、何も新しくなかったなら、君はその想像物を壊すだろうか?

私の中にあるむなしさと、はかなさへの思いやりが、静かに舞い上がる。

遠くへ遠くへと運ばれていく、その繊細な魂に似た何かは、私を香ばしいコーヒーのある喫茶店へと連れて行くだろう。

だからこそ、感謝している。

私自身の魂を運んでいってくれるのだから。私自身の生きた証を残してくれるのだから。誰かが、引き継ぐ可能性もある。

そして、もっと高い可能性で、誰も引き継がない可能性もある。

ありがたいことに、可能性だから、0ではない。

だけれども?と私は聞かれる。

あなたは誰から引き継いだんですか?と。

私は答えるすべがなく、ただ黙って床を見つめていた。

とても悲しい色をした床の模様を。そして、そのきしむものから、かすかな声を聞くのだ。私が生きてきただろう声を。

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