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読書感想 村上春樹「街とその不確かな壁」①

 村上春樹さんの最新作である。

 奇妙な壁の中の世界と現実世界(私たちが普段暮らしている世界)をいったりきたりしている物語。

 現実世界のほうが昔の出来事で、壁の中の世界のことが後の時系列らしい。

 今は主人公が壁のある街から出ていくことを決意したところ。

 印象的な話は白い服を着た集団が、崖から身を投げる光景。ありありと描写されて、なんだかしんどくなった面もあったが、彼らが消し去りたかったのは「意識」だったらしい。確かに、この意識というものは、良くも悪くも曲者で、私たちにとってのひとつの謎でもある。

 意識という言葉は、当たり前のように使っているが、この意識というものは、寝ている間あるのか、どうか?など奇妙な問題もいろいろとある。

 とにかく物語は、壁の世界の今から、現実世界の昔の間の間隔が狭くなってきた。つまり、時間軸的に近づいてきたということだ。

 ふたつの世界は、平行世界ではなく、時間の経過した後の世界なのか?はたまた主人公の男が作り出した架空の世界なのか? 

 架空であっても、意味はある。意味を持つと感じている。なぜなら、強い青春時代の心象風景(好きだった人の語る世界)を現実化したものなのだから。

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