村上春樹さんの最新作である。
奇妙な壁の中の世界と現実世界(私たちが普段暮らしている世界)をいったりきたりしている物語。
現実世界のほうが昔の出来事で、壁の中の世界のことが後の時系列らしい。
今は主人公が壁のある街から出ていくことを決意したところ。
印象的な話は白い服を着た集団が、崖から身を投げる光景。ありありと描写されて、なんだかしんどくなった面もあったが、彼らが消し去りたかったのは「意識」だったらしい。確かに、この意識というものは、良くも悪くも曲者で、私たちにとってのひとつの謎でもある。
意識という言葉は、当たり前のように使っているが、この意識というものは、寝ている間あるのか、どうか?など奇妙な問題もいろいろとある。
とにかく物語は、壁の世界の今から、現実世界の昔の間の間隔が狭くなってきた。つまり、時間軸的に近づいてきたということだ。
ふたつの世界は、平行世界ではなく、時間の経過した後の世界なのか?はたまた主人公の男が作り出した架空の世界なのか?
架空であっても、意味はある。意味を持つと感じている。なぜなら、強い青春時代の心象風景(好きだった人の語る世界)を現実化したものなのだから。